四十の手習い~PA編~

comaというライブハウスを割安で
借りようという算段と時同じくして
DTM録音への興味が相まって、
PA業務にチャレンジしてみたので、
その感想を書いておく。

PAとは何の略かしらない。
調べたら、Public Addressとか
出てくるけど、いろんな解釈が
ありそう。

実務としてやってることは、
音をマイクで拾って、
いい感じにスピーカーから
出すこと。で良いと思う。

ミソは「いい感じ」である。
「いい感じ」はバンド、
いや個人単位で違う。
その細分化された「いい感じ」を
満たすことがPAの業務なんだろうな。
と思う。

具体例としたら、
ポップバンドのPAで
ギターやベースなどの
楽器、ドラムなどを
大きく出して、迫力は
あるものの、声があんまり
聞こえない。
これはいい感じではない。
しかしながら、同じPAを
音圧を求めて、
ボーカルはそもそも何言ってんのか
わかりにくいけど、圧や迫力で
何かを訴えてるバンドだったら、
とてもいい感じ。となる。

「いい感じ」はバンド、
いや個人単位で違う。

その「いい感じ」を
汲んで、調整するのが
PAの仕事なんだと思う。

だから、基本PAは、
バンドの音源のチェックや
ライヴ動画などは理想としては
全バンド観ておくのが
良いんだろうな。と思う。
事前にこの人たちは
こんな音、こんなバランスで
このバンドはやりたいと思っている。
を理解するのが音源だし、
こんなライブをしたい。と思っている。
を理解するのがライヴ動画なんだろうな。
と思う。
そういうことを日々、自分の好みの音じゃなくても
研究して、バンドを満足させられるから
プロなんだろうなぁと思う。
まぁ、毎日毎日、当日出るバンドや
明日出るバンドの音も動画もチェックするのは、
時間もかかってしまうので、知ってるバンドは省くとか
効率化してやられてるんだと思うけど、
そのバンドの曲を1曲聴いてるのと、
聴いてないのではPAするのに大きく差が出そうだな。
と思う。

しかし20年くらいバンドしてて、
そういったことをしているんだろうな。
と思わせてくれるPAは少なく、
そういったことをしているPAが
いるんだろうな。と思わせてくれる
ライブハウスは大体みんなが
好き!好き!と言っている。
広島だったら4.14だったり、
明治館だったり、他の地域だったら
熊本のnavaroや大分のathall、
福岡のutero香川のtooniceだったり
山口の印度洋やオルガンズメロディだったり
するんだと思う。

それはやっぱり理由があり、
端的に言うと「会話量」だと思う。
事前に音源などの知識を入れてても、
「今日はどう思っているのか?」
または「自分はこれを聞いて
こういう感じにPAしようと思ってるんだけど、
合っているか?」など必要な会話量は
増えてくる。その中でコミュニケーションが
生まれ、信頼が生まれる。
だから、みんなが好き!と言う。
という風に推測している。

20年前、広島でライブを
はじめたときにPAというものは
無愛想で感じが悪く、
やたら音がでかいとか
文句しか言わないような
技術屋志向のコミュ障みたいな
職人がPAというものだと思っていた
自分からすると、今回PAをしてみて
真逆の感想を持った。
そりゃ、バンドの理想も知らずに
ふんぞりかえってPAしてたら、
あのライブハウスは音がいい。
と評価なんかされるはずがない。

多分、当時はPAが出す解答だけが、
正解で他の解答はない。
「嫌ならもうこのライブハウスには
来るな。」くらいの勢いだった。
しかし20年経つと明らかに勢いは失速した。
ざまぁみさらせ。

閑話休題。

さ、偉そうに初心者が語りはじめたけど、
文句はささっとしたためれるものの、
自身がやったらどうなのか?
もちろん全くできないし、分からない。

そこでまず今回は
「ミカカとアカノタニン」先輩に
協力してもらう。

「ミカカとアカノタニン」先輩は
ドラム
ベース
クラリネット
ギターボーカル
という編成。

クラリネットがトリッキーだが、
クラリネットがトリッキーというより、
クラリネットを吹く人が何よりトリッキーという
バンドだ。

20年の門前の小僧のおかげで
どのあたりにどのマイクを置くのが、
よいかなどはあたりがついてたので、
適当に置いてみる。

そこからスピーカーから出す音量を決める。
「ミカカとアカノタニン」先輩から、
クラリネットの音が前に出にくい。
と聞いていたので、クラリネットの音に
気を使いながらやってみる。

音は出てるもののスッキリしていない。
スッキリしていないので、
中もやりにくいはず。

うーむと思ってたら、
広島で昔からプロのPAとして
働いているシロタさんがひょっこと登場してくれた。
「外で聞いてたら、バスドラの音しかしねぇーよ」
と言って「多分、この辺をね」とイコライザーの
摘みやフェーダーを調整してくれたら、
劇的ビフォアアフターの感じで
「なんということでしょう。あの籠りきった低音が
すっきりし、お互いの音がクリアに聞こえます」
といった状態になった。
流石、プロ!
そこから解説もしてくれた。
「このバンドの場合、バスドラの音とベースの音は近いほうがスッキリするよ」
「バスドラはこのバンドの場合、ハイでアタックをロウで重みをつけたらいいよ」
「あとベースはDI通すと音が変わるので、PA側で元の音に近づけないといけない」
など珠玉のアドバイスを初回からたくさんいただき、頭の中に入れると共にメモ。

しかも調整の前と後が分かるようにPANを振って違いを
体感させてくれたりした。ありがたい。ありがたい。

終わりにシロタさんから
「PAは音を大きくするんじゃくて、足りないところを足すんだよ。」
と教えてもらった。なるほど。金言だ。

次に広島を代表する爆音ベースが率いられる「etos」に
練習をお願いした。
ドラム
ベース
ギター
ギター
のインストバンド編成。

「etos」の場合、話をしてたら、
爆音ベースのつけ角くんはステージ中の音量が小さいと
テンションが全く上がらない。なので、中音は
ピークとか機械に影響がないなら、可能な限り大きくしたい。と。

なので、ステージ上の音はかなり大きかったので、
まずドラムの迫力が足りないバスドラやスネア、ハイハットだけを
スピーカーから出してみた。他は全くスピーカーから音を出してない。
しかし「etos」の場合、ライブハウスが大きくなかったら、
多分、これはひとつの解だと思う。

次につけ角くんのベースをスピーカーから出してみよう。と
思って出してみた。デカい。信号はそんな大きく入ってないから
0dbまで上げてみたけど、デカい。
これに併せて他の楽器も併せてみたけど、デカい。
ギターのクリーンな音色がこの音量だとキンキンする。
でも、爆音でスピーカーの前にさえ立たなければ、
音が腹にくる感じ。これもひとつの解だな。と思う。

ふたつ解が見つかったので、メンバーに話してみると、
結果、つけ角くんが
「どうせ俺の音がでかいんでしょ。」と少しはぶてていた。
この日、チャリの高校生に追突されてチャリがダメになったことも
影響しているのかわからないが、はぶてていた。
この解はライブハウスの大きさに併せて決めたら
良いのかもなぁと思った。

そして迎えたPAデビュー戦、本番。
shiNmmはシロタさんに習った
「PAは音を大きくするんじゃくて、足りないところを足すんよ。」
を実践。

因みにshiNmmは
ドラム(コーラス)
ベース(コーラス)
ギター(コーラス)
ギターボーカル
の編成。

ドラムの3点を主にスピーカーから出す。
あと声とコーラス。
shiNmmはオルタナで独特なイメージを
持ってしまいがちだけど、さないさんの声は
非常に重要だ。そしてそれと同じくらい
学くんのコーラス、ゆかみりやのコーラスも
キーとなるべき箇所が多々ある。
まごめちゃんは…元気ならそれでいい。
本番は、さないさんの声をPAのところからは
歌詞が分かる程度に出してたけど、
前で観てたら少し歌詞は聞き取りづらかったみたい。
どこに焦点を併せてPAしたらいいかなぁと思いつつ、
前にも出てみて音を調整。
あと、お客さんが入ったら音が変わるというのも
PAとして初体験した。
リハと同じセッティングでは聞こえてくる音が
違って、ライブの途中で返しのボリュームを変えた。
自分もステージに立ってたので、若干返しのボリュームが
小さくなると思って、気持ち大きめに全部を返したけど、
声とギターでは違うみたいだった。
声だけ大きめにしとけばよかった。

ネネカートは
ドラム
ベース
ギターボーカル
キーボード(コーラス)
の編成。

キーボードはアンプからの音と
DIからの音と2回線で用意。
鍵盤ハーモニカはマイク。

リハでは良いところまで
スッキリさせることができなかったけど、
本番は人が入ってくれたおかげで
ステージの中はスッキリしたみたい。
助かった。

ネネカートも声が大事なので、
声は出来る限り大きく、
PAのとこで歌詞が聞こえるくらいに調整。
個人的にあだちくんのメロディと
キーボードが他の音に負けないように
することに注力した。

途中でshiNmmの学くんが来てくれて
「いい感じですよ」と教えてくれた。
ホッとした。

あと、ネネカートのときに
声とキーボードをステージ中に返しながら、
返しの音を足してもcomaくらいの大きさだと
外の出音に結構影響あるんだな。ということを
学んだ。

人生で4バンドだけPAをさせてもらったけど、
全て好きなバンドだ。

職業ではないので、自分のイベントで
好きなバンドのPAを自分でするのは
とても面白いし、いいことではないかな?
と思った。
自分が呼んで自分がこのバンドの
ここの絡みを聞いてほしいとか、
このメロをとか、このコーラスをとかを
自分でコントロールできるのは嬉しい。

これからも四十の手習い~PA編~を
継続していきたいなぁと思っております。